経活のススメ

巻頭特集「2019経活のススメ」とは、各会員企業の企業経営における取り組みを紹介しつつ、人を中心とした中小企業経営に対する同友会としての考え方を解説するコンテンツです。また、それぞれの企業経営だけに留まらず、例会や経営指針確立実践セミナーなどのさまざまな同友会の活動をあわせて紹介することで、すべての活動における考え方の根幹である「人を生かす経営(通称:労使見解)」への理解を深めていきます。
※経活:同友会での学習を生かした自社経営における改善活動

vol.5

経活のススメ

経活の実践者 - 経営指針で会社が変わる -

田中化工(株)  代表取締役 田中 進 氏 中河内ブロック 八尾支部

【PROFILE】
所 在 地:大阪府八尾市跡部北の町
創業/設立:1967年/1985年
年商:9000万円/社員数:13名
業務内容:工業用プラスチック切削加工
経営理念:樹脂加工の真価を発揮し深化し新価を生み受け継ぐ想いと伝える想いをカタチにすることで、感動と喜び、そして感謝に 満ちた社会つくりに貢献します。

企業ドメインが変わっていく

加工で産業界向けの製品を手がけている田中化工さん。以前は塩ビを使用した半導体や化学薬品の洗浄槽などを製作。そのころは大きな利益を出すことができていました。その他汎用プラスチックの加工を行ってきましたが、時代が変わりエンジニアリングプラスチックへと素材が進歩し、それに対応するために技術の向上に努め、設備投資を行い、ノウハウを蓄積してきました。プラスチックの歴史は戦後からと意外に浅いとのことです。一般から見るとプラスチックは同じように思いますが、素材は日々進化、変化しその対応が大変とのことです。

リーマン・ショックからの生還

大学を出て5年間、ある設備の営業として勤め、2000年に田中化工に入社します。当時から家業的な会社でしたが、航空機部品加工に参入したり、設備投資を行ったり順調に仕事をこなしていました。2008年に社長になり、仕事のつながりを求め商工会に入ったりはしていましたが熱心ではありませんでした。その時に同友会にも入会します。しかし、勉強する気がないので幽霊会員でした。その年に起こったリーマン・ショックで大打撃を受けてしまいます。仕事を取ってきても厳しい短納期の要求。そのためのオーバーワークをすべて社長自身がこなしていました。その後も苦しい状況が続き2010年に父親が会社から身を引き、次の年には経理を担当していた母親が会社から身を引きました。残ったのは社員一人、1週間仕事が無い時もあり二人で殺伐とした日々を過ごしました。ある時同友会の会合に出向き、自社の現状を先輩会員に相談します。そこで経営指針成文化セミナー(当時の名称)を教えてくれました。2011年に指針セミナー(理念・方針・計画)を受講しました。しかし、なかなか理解ができない、もう一度受けなおそうと考えたところ、サブリーダー(助言者)として参加することを教えてもらいます。サブリーダーで参加し続けることで、少しずつ理解度が深まってきました。

指針経営への出発

2012年からスタートし悪戦苦闘した5年目までの指針経営を時系列で振り返ってもらいます。指針実践初年度何から手を付けていいのかわからず、「良い会社」を作るためになにをすればよいか話し合うことを決め、毎月会議の時間は仕事を止めることを決めることから始める。指針実践2年目2年目は3Sのみに実践を絞り、PDCAを習慣づけられるように仕組みづくりをすすめた。もっと会議を集中してできるように工場に中2階を作り会議室を増築。指針実践3年目3Sに加え、生産性と品質について方針を立て、PDCAを回す。ここで会議の異変に気付く。強くものが言える社員の意見ばかりがまかり通り、民主的な議論になっていない。結果、全社的な活動につながっていかない。そこで、「会議のルール」を作る。①他人の意見を否定しない。②必ず自分の意見を述べる。③決まったことは全員で実行する。結果論であるが、同友会の自主、民主、連帯と酷似していることに気づく。指針実践4年目3Sを環境方針の一部とし、製造方針、品質方針、環境方針、営業方針、教育方針の5項目とした。1方針につき、1部門長を選任し、それぞれが各分野で主体的に取り組める仕組みとした。PDCAを回すことで、社内の仕組みが急速に構築されていき、企業づくりが進んでいったが、反面、社員の疲弊感が出てきたことと、会議の時間が丸1日かかり、生産性の足かせにもなってきた。指針実践5年目製造、品質、環境の3方針を単年度方針とし、営業方針を中期方針として、事業領域の拡大を図る。(自社ブランドづくりを進行中)
この5年の成果としては、補助金で設備投資ができ、EA21取得、匠の認定、展示会の出店、第二工場増設、社員数1.5倍、総売上額は約2倍になりました。一方で、社員が増えるごとに企業づくりが見違えるほど進んでいくが、その過程で必ず問題が発生します。人が増え、組織化していく過程で必ず必要に感じるのが、就業規則、経営指針書、人事評価制度の見直しです。この三つは必ず自社のオリジナルでなおかつ「人を生かす経営」にのっとって共に作るプロセスが「強靭な会社」を作る肝になると実感しています。

これからの田中化工のビジョンと課題

その後も経営指針による経営は続いています。昨年は初めての高校新卒採用を行いましたが、1週間で退職してしまうなど、その都度課題にぶつかっています。この時は落ち込みましたが、原因を追究すると初めから社長が入れ込み過ぎで負担になっていたのではと分析しています。田中化工の10年ビジョンは33人の会社で組織経営を行う。現状の仕事を伸ばしながらものづくりメーカーになること。現状の仕事についてはやみくもに伸ばすことではなく、業界をしっかり分析をし、絞り込みを行っており、現在は、医療・福祉と趣味・娯楽の分野をターゲットとしています。医療に関しては医療機器製造登録を行い昨年の11月には展示会に出展。趣味・娯楽に関しては、現在デザイナーと組んでアクセサリー商品を自社ブランドとして立ち上げようと動きだし、10年後に向けての行動が始まっています。

経営指針確立・実践セミナー未受講の会員さんへ

私は過去の経験より「人は変われないもの」とずっと思い込んでいました。しかし、指針を考えるプロセスを学ぶことで、未来を変えるための方法を学ぶことができました。何より、このセミナーを通じて本当の仲間やめざすべき経営者に巡り合え、自分自身が変わったことが大きな自信につながり「人は変われるんだ」と自分自身の価値観が大きく覆されました。この体験がのちに社員さんとの信頼を築く芯となりました。企業づくりも同友会活動もすべての起点がここから始まっています。

取材を終えて

経営指針書を作れば経営がうまく動きだす。そんなことはなく反対に課題が浮き彫りになり苦しく感じる時期が必ずある。しかし、それをずっと続けていくことで少しずつ会社に変化が表れてくる。戦略的な経営に近道はないことを改めて知ることができた取材だった。

(インタビュー:山田、写真:田村)

vol.4

経活のススメ

経活の実践者 - 経営理念が判断基準 -

(株)One Step 代表取締役 永友 純一 氏 大阪北ブロック 豊能支部

【PROFILE】
所 在 地:大阪府吹田市江坂町
創業/設立:2005年/2009年/
年  商:9800万円
社員数:4名
業務内容:塗装工事・改修工事・施工管理全般
経営理念:One Stepは小さな一歩を積み重ね笑顔を咲かせる未来へ夢を紡ぎます

個人事業から株式会社(法人)へ

永友さんは2005年 独立し個人事業として創業。4年間はどんどん仕事が入りもうかっていきます。そのころある顧客から株式会社にしてほしいと依頼をうけました。そのころの永友さんは[会社は社員が幸せになるシステム・ツール]との考えがあり、それが株式会社になるともっとすごいツールになると感じます。そんな思いなので他の株式会社はすべてが善良で悪い会社なんて無いと信じていました。しかし、そんな甘い思いは見事に裏切られ、だまされ、いいように使われ、気がつけば2年で4000万円の負債を背負ってしまいます。当時は管理がまったくできていないので、仕事を取ってきて完工するが、もうからない、1億8千万を売り上げても2千万の赤字がでるなどボロボロの状態でした。

同友会との出会いそして経営指針との出会い

そんな状態が続き、もう会社をたたもうと思っていた2015年、同友会に出会い、当時の北摂支部に入会します。同友会の例会や他の集まりで、自社の現状の話をするとみんなが真剣に聞いてくれてアドバイスや指摘をくれる、会社を変えたくて、やりたいことの話をすると背中を押してくれる、悩みを話せる人たちに出会うことができました。そんな先輩たちから勧められ、経営指針確立・成文化セミナー(当時)を受講します。1泊して理念を作るコースで、独立してから株式会社になるまでのころを考えて忘れていた自分が考えていた会社への思いを思い出しました。「会社は社員が幸せになるツール」そして、現在の経営理念ができあがりました。セミナー明けの月曜日に宿題で出された「社員に理念の発表」を行います。社員さんの無反応、無関心な態度を予想して不安でしたが、その予想は裏切られどんどん社員さんの目が光ってきたことが忘れられないとのことです。


経営指針の実践

すべてのセミナーを終了し、新たにOne Stepがスタートしました。経営指針の実践を促すために、毎朝ランニングを行い、近所の神社で経営理念の唱和を行うことを社員に宣言し、有言実行もしました。そんなかいもあり、会議の場で「経営理念にそぐわない」などの声が出てくるようになってきます。経理面でも緻密に管理することを実践し、粗利益率も10%に上がってきます。その要因は皆が日々の仕事で細かなところまで気がつくようになってきたことだと分析しています。2年前に無借金経営になり、キャッシュフローの管理も行い、やっと数値計画通りになってきました。

経営理念は判断基準

閑散期や天候の影響があったりで、給与確保のために厳しい仕事を取ってきた時、やはり利益が上がらなくて社員からも愚痴がでます。内心では「お前らのために仕事取ってきてるんや」と思いました。しかし、社員さんから「こんなん笑顔になられへん」との意見が出た時に、やはり経営理念にそぐわないと判断し、利益にならない仕事を取ることをやめます。そうすると、業績もなぜかそんなに悪くならないという結果でした。今ではいい意味でお客さんを選べるようになり、業態の幅もひろがってきています。経営理念が判断基準ということを体現された出来事です。

経営指針確立実践セミナー未受講の同友会会員へ

自分は指針経営を実践するために、小さなことを社員に見える化することから始めました。少しずつ経営理念が浸透して、それが判断基準「笑えるか、笑えないか」となっているので何事もスムーズに事が運ぶようになりました。「入会したらまず受講した方が良いと思います」と永友さんは言います。「入会したばかりの時期は、同友会を自分の中でどのように位置付けて、活かしていくのか、わかりませんでした。しかし指針セミナーを受けると、自社経営の戦略的経営にあわせて、同友会を自社経営にどう活かすかが見えてきた」と言います。

経営指針書の一部を紹介します。

6か月先を見据える。
塗装屋の限界を超える、One Stepらしく!!!
目指せ!!! 行列ができる工事屋さん

・3か月~半年先の受注が受けていられる状態を作る。
・工事の受注を6か月先までいっぱいにして、お客様に工事を待っていただいても、One Stepで工事がしたいというお客様を増やしていける(行列ができる工事屋さん)状態を目指し、日々仕事に向き合っていく。
・塗装屋であることを最大限に生かしリフォーム工事や店舗工事でお客様に感動を与えることができる工事をしていく。(スタッフ全員多能工化の徹底)

(インタビュー:山田、写真:田村)

vol.3

経活のススメ

経活のスタートは経営指針確立実践セミナー

(株)ワイビィー 代表取締役 妙本 浩志 氏  大阪東ブロック 東成・生野支部

【PROFILE】
所 在 地:大阪市東成区中本
創  業:1950年/年  商:4億4300万円
従業員数:28名(正社員26名、パートアルバイト2名)
業務内容:精密試作板金加工業

1.経営指針確立実践セミナー受講のきっかけ

前社長から会社を受け継ぎ、代表に就任して1年が経過しようとしていたところ、目の前の営業の業務をこなすだけの日々で、このままではいけない、もっと先を見据えた会社の未来像を考えていかなければならないと感じていました。それと、前社長が作った経営理念があったのですが、単に名前を私に変えただけで掲示していたことに何か違うなと感じていました。このセミナーをきっかけに新たに私の考えたものを作りたいと思ったからです。

2.第1 講 同友会の歴史及び同友会理念

同友会の歴史や同友会理念を知りどう思いましたか?
戦後、先人たちが中小企業をよくしていこうという中、さまざまな苦労があってこの会を立ち上げた思いに触れることができました。自主的な活動のもと、ボス的な存在は作らない、それぞれが主役であることが同友会であるということを再認識しました。

同友会理念を知りどう思いましたか?
三つの目的についてはよく聞いていましたが、自主、民主、連帯の精神については経営指針確立・成文化マニュアルにあるマトリクスの表で分かりやすく説明していただき、それぞれに深い意味があることを知りました。人間尊重に基づいた理念であると理解した時に感銘を受けました。
人を生かす経営(労使見解)これを読んだ時の感想は?

どんな時代にあっても労使の団結こそが難局をのりこえる確かな保証です。どちらかというとあまり人に頼るのが好きではなく自分一人が頑張れば何とかなると思っていましたが、その考えは大きな間違いであると気付かされました。

3.第2講 経営理念

1日目の講義で一番印象に残っているのは?
「何のために経営していますか」について考えグループ討論した時、当たり障りのない答えしかできず、助言者から「その程度の思いですか」と投げかけられ、いかに自分の考えが浅く覚悟が足りていないかに気付かされました。夜の講義を終え、受講者8名全員が明け方まで寝ずに協力し合い、理念ができるまで過ごした時間は忘れることができません。

2日目みんなの前で理念を発表したときどうでしたか?
科学性、社会性、人間性の観点も考え自分の思いを込めた理念ができたつもりで発表しましたが、助言者から「その言葉に宿る意味を真剣に考えたか、その程度の思いでいるのか」など厳しい指摘で撃沈しました。正直、うちの会社の何が分かるのかと反発した思いもありました。しかし、冷静に考えると経営者としての姿勢を問われているのだと思わされました。

いい経営理念ができましたか?
今では自分の思いを語れる理念ができたと思います。その後、経営理念のリーダーをやらせてもらうことがあり、会社の究極の目的である経営理念を考え、成文化し実践していくことの大切さについて受講者の時と違って、より一層の理解を深めることができ勉強になっています。

4.第3講 10年ビジョン

現在の10年ビジョンを教えてください
会社の究極の目的である経営理念は成文化しましたが、10年は長期過ぎて経営理念と同じような感覚になりがちでした。しかし、理念のように追求するものではなく達成するものとして捉え、お風呂付きの新社屋完成をめざすなどワクワクする目標を立てました。

5.第4 講・第5 講 内部環境分析・外部環境分析

これまで経営環境の分析などは行ってきましたか?
今まで行ったことはありませんでした。セミナー受講をきっかけに幹部社員と自社の強み・弱みを考え、意見を出してもらいました。耳が痛い意見もありましたが、せっかく出してくれたものを無駄にしてはいけないと思い、自社の課題として取り組むことができました。

セミナー受講後の経営方針は、どのように立てていますか?
幹部社員が出してくれた課題をもとに、セミナーで学んだSWOT分析を行い、重要度、緊急度、そうではないものに分けて経営方針を立てました。

6.第6 講 数値計画

決算書の読み方に自信はありましたか?
固定費か変動費かどちらに属するのか分からない項目もあり自信があるわけではありませんでした。

受講後決算書の見方の変わったところは?
自分では大きく変わったとは思わないですが、毎年計画を立てる上で機械設備、車両運搬具、什器など必要な更新時期を考え減価償却費を意識するようになりました。

変動損益計算書を知っていましたか?
知りませんでした。実際に固定費、変動費、売上、利益の増減の演習を行うことで数字として表れることを実感しました。極力値引きはしないよう心掛けていましたが、日々の値引きの積み重ねが利益に直結するということを改めて意識することができました。

7.第7 講 行動計画

行動計画を立てていますか?
経営方針で掲げたことをもとに、各部門の目標を立てています。それを達成するために個人の目標に落とし込み、月次で行動計画を管理しています。半年に一度、進捗確認と個人面談を行い目標に対しての軌道修正をする取り組みを今年から行っています。

行動計画の立て方は?
今までも個人目標を立てて年初に発表していましたが、上司との擦り合わせも進捗確認もなく一方通行でした。それではせっかく立てた目標がもったいないと思い、上司と部下と十分に擦り合わせを行い、達成可能な目標設定、行動計画を立てています。

8.その他

セミナー中、いろいろな言葉が出てきたと思います。心に残っているところを教えてください
やはり経営者の姿勢の確立です。社員を最も信頼できるパートナーとして考えることは初め理解できませんでした。対立しても仕方がない、立場が違うのだから分かり合えるはずがないと思っていました。けれどもそれぞれの役割を全うし、責任を果たしていくことは社長も社員も同じである、それこそが対等な立場でのパートナーであると知った時は納得できました。

セミナー全体に対しての感想。まだ受講していない会員へ、コメントをください
受講しないと機会の損失です。いろんなセミナーがあると思いますが、半年間かけて経営のことを学べて5万円の受講料はお得です。受講者も助言者も同じ経営者であるのは同友会のセミナーだけだと思います。経営者目線でたくさんの助言がもらえます。セミナーを通して、相談できる仲間が増えたことが財産です。私も自社を良くしたいと思い受講し、まだまだですが少しは良くなっていると実感する時もあります。また、半年間のセミナー修了後に助言者の立場でも参加でき、繰り返し学ぶことができるので大きな気づきを得ます。ぜひとも受講してみてください。

(インタビュー:山田、写真:田村)

vol.2

大阪地域自慢

経営活動「経活」の第一歩

(株)イングネット  取締役 谷澤 康裕 氏 大阪中央ブロック 臨港支部

【PROFILE】
所 在 地:大阪市浪速区難波中
創業:1997年
資本金:7400万円
年商:4600万円(2018年度)
従業員数:5名(役員・パート含む)
業務内容:紙媒体およびweb・映像媒体、各種サインの企画制作/システム構築支援/レンタルサーバー/プロバイダー事業各種機器販売

1.経営指針確立実践セミナー受講のきっかけ

現在は会社組織も小さく、事業承継もしておりません。父親が社長の身内企業ということもあり、正直に言うと、受講の必要性はタイミング的に感じていませんでした。しかしそんな時だからこそ、今後社員を雇用して、さらに発展させていきたいと考えているのなら迎え入れる社員に自社がどういう思いで仕事をしていて、今後どういう方向に進んでいくのか、という姿勢を示すために経営指針は絶対に必要だと教えていただき、受講を決めました。

2.第1講 同友会の歴史及び同友会理念

同友会の歴史や同友会理念を知りどう思いましたか?
同友会理念も言葉としては知っていましたが、その言葉の意味を深く考えたこともありませんでした。特に「国民や地域とともに歩む中小企業」については、自身の視野の狭さから、地域によって思いの差が出るのでは?とも思っていました。三つの理念を同友会のあらましから学んでいくうちに、理解も納得もしていなかったことに気がつきました。

人を生かす経営(労使見解)を読んだ時の感想その時一番感銘を受けた箇所は?
やはり冒頭の「経営者の責任」です。自社がこれまで成り行きに任せた場当たり的な判断で会社を維持してきたこと、それが原因で大きく発展できずにいたことに気がつきました。また、労使のコミュニケーションについても「親族だからわかってくれるだろう」という安易な考えでいたことを反省しました。なぜ指針書が必要なのかを第1講で人を生かす経営(労使見解)から学び、理解することで、第2講の理念成分化に納得して進むことができました。

3.第2講 経営理念

1日目の講義で一番印象に残っているのは?
1日目は、自社の仕事を三つの立場から分析し、自分の大切にしている価値観や人生観をベースに理念を成文化していくのですが、意外にすんなりと書きあがりました。しかし、助言者の方々から「それはなぜ?」という質問を受けるたびに答えに詰まり、結局は仕事柄聞き心地のよい言葉を並べている「キャッチコピー」を作っているだけだということに気がついたことです。

2日目みんなの前で理念を発表した時の思いは?
性格的に自分の思いをあまり積極的に話すタイプではないので、とにかく必死でした。しかし、一晩かけて考えた思いや理念も簡単には伝わりませんでした。投げかけられる質問にもたじたじで、ましてや伝える相手が、社員や取引先、金融機関だと、このままでは伝わらない、経営者として自社を語り、思いを伝えるということはそんな甘いものではないのだと改めて痛感しました。

今なら、その時の指摘をすべて返せる(答えられる)のでは?いい経営理念ができましたか?
紆余曲折はありましたが、結果的に満足のいく経営理念が成文化できたと感じています。実は自社には、社長が創業当時に掲げていた理念があったのですが、全くピンときていませんでした。しかし2日間、自社の仕事と向き合い、自分と向き合い、絞り出てきた理念が、言葉は違えど当初の理念と通じているところがすごくありました。10年間ただがむしゃらに仕事をしていたつもりが、実は社長の描いていた理念と同じ思いで仕事をしていたのだと嬉しく思ったのが印象的でした。

4.第3講 10年ビジョン

10年ビジョンを作る必要性を感じましたか?
漠然としたビジョンのようなイメージは描いていましたが、入社して10年、日々の業務に追われ、入社当時から状況は大きく変わっていませんでした。10年後のビジョンを明確にすることで、5年後にはこうなっていなければならない、そのためには3年後、1年後、今日何をしなければならないのかが見えるようになり、10年ビジョンの必要性、何より言葉にして残すことの重要性を感じました。

5.全般

経営姿勢の確立をしたと自覚できましたか?第3講までは、経営の実質的な戦略ではなく、まず経営に対する自身の在り方を学ぶ講座だと思います。セミナー受講期間中に、社長の病気が発覚したこともあり、今の環境が当たり前にいつまでも続くわけではないことを深く意識しました。数年後には確実に訪れる事業承継、そして承継後も自社を継続/発展していくことを覚悟できたと感じています。

セミナー全体に対しての感想やまだ受講していない会員へ、コメントをください
受講前の私のように「今はまだ必要ない」と感じている方がいらっしゃるのではないかと思います。しかし、理念、指針書の作成に時期やタイミングは全く関係ないということを強く感じました。実際、私が受講した同期にも、役職や事業規模、さまざまな組織体の方がいましたし、2度目の受講の方もいました。立場は違えど、それぞれ自社に対する強い思いは同じでした。私自身も半年間の受講で、経営者としての第一歩を踏み出せたと感じることができました。また、普段の例会では話すことのできないことまで深く話し合える仲間ができたとも感じています。もし、私のように必要性を感じてはいるが、タイミングや規模で「今はまだ必要ない」と感じている方がいらっしゃればぜひ受講することをお勧めいたします。

(取材:山田・荒田、文:山田、写真:田村)

vol.1

大阪地域自慢

経営活動「経活」のススメ

(株)マルキチ 代表取締役社長 木村顕治氏 中河内ブロック 東大阪第二支部

創業:1689年/資本金:5300万円 業務内容:業務用油脂・食品・洗剤の卸商社、オリーブオイルと食品の輸入販売

今期より情報化広報部では「経活」という言葉を使っていこうと考えています。「経活」の言葉を聞いてどう感じました?

今回の取材依頼があった時にも聞いたのですが「経活」=経営指針確立実践セミナーと考えているのなら少し違うと感じました。経活の説明を聞いて、今思うのは経活とは「労使見解を深めることだ」ということです。

経活の具体的運動に直結しているのが経営委員会だと思いますが、2019年度の経営本部長として経営本部の活動方針を教えてください。

経営委員会のイメージで一番強いのが経営指針確立実践セミナー(以下指針セミナー)だと思います。経営委員会=指針セミナーと思っている会員が多くいるのも事実です。経営委員会には経営指針確立実践セミナー、求人、社員共育、障害者問題、就労困難者問題など、さまざまな活動があります。それぞれすることがあり、期が始まると各部会ではほとんどがその運営方法の議論になってしまっています。確かに指針セミナーは経活の入り口だと思います。指針セミナーは畑に苗木を植える活動です。本当の目的は、会員が植えたその苗木が成長して成果という実を実らせることです。経営本部は会員が苗木を成長させるお手伝いをすることが活動の目的です。その中心に労使見解がある。まだ具体的なことは決められていませんが、すべての活動の中で労使見解が感じ取れ、学び合えるようなことをしていきたいと考えています。

労使見解が自社経営のバイブルと話す会員が多くいます。具体的に決められていないといわれますが、イメージとして労使見解を学ぶとはどんなことでしょうか?

増強訪問などで、他の中小企業団体との違いは何か?と聞かれます。明確に言えるのは労使見解の「人を生かす経営」の存在です。たとえば、ここ数年では「働き方改革」に対して議論が多くあり、勉強会なども開かれています。その多くは生産性を高めることや数値目標をクリアするテクニックなどの手法の勉強です。同友会は労使見解を元に議論を行い、働き方改革に対しての経営者としての考え方、取り組み方を議論するところから始めます。労使見解を学ぶというのは読みあわせをするなどのお勉強会ではなく、課題に対して労使見解からの視点で真剣な議論をするなかから学び取ることです。まずは経営本部をそのような場所にして、そのような運動をすべての会員に広げていきたいと考えます。

経活=経営本部のような感じがしますが、これまでの経営委員会との違いは何でしょうか?

労使見解を広め、深く掘り下げて会員の経営発展を支援し語り部を増やすのは経営委員会です。ということは、増強は経営委員会が行うといっても過言ではない。そんな視点を持って組織委員会ともタッグを組んでいきたいと思います。組織委員会だけでなく、経営者として関わる以上中小企業憲章も政策も地域づくりの運動も、すべての活動に経営委員会は労使見解の視点から関わるべきだと思います。障害者部が取り組む地域の就労困難者の問題なども、労使見解を元にすべての本部が一緒に議論すれば多くの学びと成果を得るでしょう。

これまでの話を聞いて、経活の=労使見解からの学びと解釈しましたが、その具体的活動の一丁目一番地はやはり経営指針確立・実践セミナーだと思います。現在の指針セミナーについて意見などがあればお願いします。

今期から、全ブロックが単独で指針セミナーを開催すると聞いています。よく問題としてあがるのがリーダー不足です。自分は、完璧なリーダーを求めず、指針セミナーを卒業したメンバーが冷や汗をかきながらすればいいと考えています。もちろん一定のレベルまでは勉強しないといけないですが。自分も昔、計画コース、今のセミナーなら第6講(数値計画)のリーダーをしたことがあります。自分なりに勉強をして臨んだつもりでしたが、貸借対照表のところでぴったり数字が合うはずが合わない。冷や汗がだらだらと流れてきましたが、開き直って受講者と一緒に考えて、ああやこうやと一緒に考え間違いを見つけました。受講者には申し訳なかったですが、これは別の意味ですごく学べたと思いますよ。

このように、リーダー・助言者・受講生一体となり共に学びあっていく指針セミナーにしてほしいです。新会員が一番初めに労使見解に触れるのが指針セミナーです。今は7講に分かれていますが、随所で労使見解と照らし合わせて考えを深めるような指針セミナーを期待しています。
(取材:大西、文:山田、写真:田村)

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