経営指針・実践中

2021年度大阪同友会のスローガンは 【正念場の年「ビジョン2020」を深く学び、すべての会員で経営指針に基づく自社経営を進めよう!】です。 その実践に向け情報化・広報部は指針経営を実践している企業を紹介していきます。 会社の羅針盤ともいうべき経営指針はそれぞれの会社で、何を根幹において作成され、どのように実践されてい るのか。経営者として最も興味があり、学ぶべきあり方を、取材を通じて皆様にご紹介いたします。

vol.2  2018年に立てた2023年ビジョン(夢物語)がどんどん実現!

あの人に聞く

(有)伊藤歯車製作所 代表取締役 伊藤 雄一郎
(大阪南ブロック/かんくう支部)

10PROFILE
所在地:本社・工場/大阪府岸和田市磯上町(岸和田工業センター協同組合内)
URL: https://ito-haguruma.jp
創業:1951年4月 / 設 立:1957年4月
資本金:1,500万円 / 年 商:2億4,000万円(2020年度1月期) / 社員数:32名
業務内容:各種歯車及び歯車関連部品の加工・製造・歯切り、歯研、設計、ミーリング工事一式及び設計

自社の概要及び事業紹介

会社は関西国際空港に近いだんじり祭りで有名な岸和田市にあります。昭和26年にこの地で祖父が歯車工場を創業しました。当時は泉州地方の地場産業であった紡織機メーカーの専用機部品としての歯車を加工していました。昭和32年に会社を法人化、昭和55年に現所在地である岸和田工業センター内に移転しました。平成元年に父が2代目として会社を引き継ぎました。バブル経済が終焉(しゅうえん)し、時代の変化と共にそれまで主流であった歯車の部分加工のみの仕事から材料共全加工での歯車の製造が主体となっていきました。平成30年に2代目の父から事業を引き継ぎ、今年2月より65期目を迎え5月現在、社員32名のみんなと一緒に日々歯車の製造と社内の風土づくりに勤しんでいます。


製造工場内風景

【歯車について】
歯車は円です。円周上に歯車の歯を加工しています。ということはそこに円周率が関係していきます。円周率は割り切れません。その割り切れない円周上に歯を加工します。そこには必ず誤差が生じます。その誤差をいかに小さくするかが歯車の精度です。100分の1mm、1000分の1mmといった単位で加工誤差を計算します。それでも狂います。身近なものでは時計です。時計の歯車はうちでは作っていませんが、原理は同じです。ずっと使っていると速くすすんだり遅れたりします。それが誤差です。回っているものはすべて同じです。地球も回っています。そこに誤差があり、その誤差を調整するのが4年に1度のうるう年です。そんな大きな仕事をしているのだと誇りに思うこともあります。誤差0は不可能かもしれませんが、いつかそんなことが実現できたらと思います。それは人も会社も同じです。完璧にはなれないのかもしれませんがそこをめざし少しでも近づきたいです。


歯車の歯切れ

経営指針セミナーに出合った経緯

私が初めて経営者であることを自覚したのがリーマン・ショックの時でした。受注が減り売り上げが半分になりました。雇用調整助成金の申請手続きを全部自分でした時に、はじめて経営の数字というものに向き合いました。その後も当時専務をしていた叔父が退社するなど大変な時を乗り切り、社内改革に着手しましたが何をしてもうまくいきません。社員の病死などもあり自分を見失いかけていた時に同友会と出合いました。どうすればみんなが同じ方向に向けるのだろうと悩んでいた当時、入会式で経営指針セミナーの話を聞き、飛びつくように受講を決めました。セミナーでは助言者からの「歯車って何?」との質問と「信頼関係ってどういうこと」という質問がずっと頭の中をグルグル回っていました。とくに「歯車って何?」という質問に対し、うまく伝えることができません。セミナーの最後で信頼するということ…社員は頼ってくれるのを待っているとの言葉…。そこでいろんなものが一つになって「歯車ってみんなで動かすもの」という言葉が自然と出て、それが自分の心の奥にストーンと落ちてきました。その瞬間私の中で確固たる芯ができました。


現場が共有の場

現在の経営に対しての課題

2023年ビジョンを今すすめています。社員への浸透はまだまだですが、少しずつでも着実にそのビジョン達成に向けてすすんでいる事実を見せ「ほらな、大ぼらでもなんでもなく言ったことがホンマになっていくやろ」と言うことで、私だけの小さな夢から社員全員の大きな夢に向かう企業にしていきます。現在の課題はリーマン・ショック後二度と雇用調整助成金を使わなくてもやっていける企業づくりをしてきたつもりでしたが、今回のコロナショックで制度を使わなくてはならない状況になってしまっているということです。営業力を含めたビジネスモデルの見直しや、さらなる進化を見据えた社内改革などやるべきことは尽きません。


【ビジョンの中にあるAIを使った工程管理システム】


管理ボード

少量多品種の工程管理をしながら、フレキシブルな対応ですべてのお客様に満足してもらえるように現在運用している工程管理システムに、AI機能を追加して超高効率な工程の組み立てをリアルタイムで行い、誰がどの仕事をいつまでに終わらせるという管理を考えています。今回の雇用調整助成金制度から時短作業を選択して仕事をしていますが、製造現場ではリモートワークはできません。それなら働き方において定時まで働くという考え方から、今日やるべきことを終わらせれば終業という考え方にシフトできるのではと考えています。そのやるべきことをどうやって品質を守りすすめることができるのかが課題ですが、3S活動を通して腰を据え全社一丸となって考えることで実現できると思っています。そのことによってこの会社で働きたいと思う人たちが増えていくのではと考えます。

経営指針に対する思い

経営指針書を作成して公表したことが一番よかったと思います。言うだけでなく書いてあるので勝手に変更できません。自分と社員との約束であり社員同士の約束なので守らなければウソになります。常に振り返り掲げた目標への進捗確認ができることがいいと思います。それを続けることで場当たり的でなく社員としても私の言っていることが一貫していると感じてくれるのだと思います。

同友会にて学んだこと

同友会入会は2014年です。今年度かんくう支部で支部長をさせていただいています。私が同友会で学んだことは全人格的成長をめざすということです。そのためには主体的に考えるということです。すべては自分の責任だということ。何かをすることはもちろん、何もしない、何も動かないということもすべて責任だと思っています。それだけ責任、責任と言われると正直怖くなります。でも経営者として社員を守り、会社を守り、社会を守っていく責任があると考えるとそこから逃げ出すことはできません。だからこそそんな責任と向き合うために私は理念が必要だと考えています。同友会でいろいろな方の報告を聞きいろんな手法を聞いたりしますが、ただ真似をしてもうまくいく気がしません。その奥にあるその方の理念や思いを受け止めて主体的に行動するからこそ、うまくいくのだと思います。私は同友会でみなさんがどんな思いを持ち、どのようにして自社と向き合い、社会から必要とされる会社をめざしているのかを考えます。うまくいったりいかなかったり、その度にいろいろな葛藤に悩みながら成長したのだと思うと、その時の心の変化やそれらすべてを含む経営者としての姿勢というものを学ばせてもらっていると思っています。自分の姿勢というものがなかなか見えないことが多々あります。自分の姿勢をしっかりと正してくれるこの同友会でたくさん刺激をもらい気づき、いろいろな学びを持ち帰って会社で実践していきたいです。
(取材:山田、荒田、写真:田村)


オペレーターによる仕事

(有)伊藤歯車製作所 「第65期経営指針書」より

 経営理念

私たちは、互いに思いやり
みんなの力で動く活気ある企業を目指します
私たちは、歯車を通して
確かな技術力で生活を豊かにします

 2023年ビジョン
 2年先、伊藤歯車製作所のありたい姿

2年前に工場の拡張改修工事を終えて、2階建てとなり1階部分は空調完備の工作機械エリアで工程に合わせ機能的に機械が配置され、安全で快適な作業環境の中、25名の社員が意気揚々と作業をしている。
2階は事務所、更衣室、食堂、会議室、検査室、出荷梱包場所、資材倉庫のエリアに分かれていて営業が3名、生産管理が2名、事務員が3名、品質管理が3名、出荷梱包に2名の社員がいる。
生産管理が中心になって進めていたAIによる工程管理システムがいよいよ稼働し始め効率的な工程管理が実現できる。このシステムと共に新たな営業ツールとして国内企業だけでなく海外企業にも攻勢をかけていく予定だ。
月に一度の【3S活動日】には活発な意見交換が出て会社の改善活動のさらなる飛躍の日になっている。そのことが社員共育にもつながり、弊社の企業風土を形成する大きな要因になっている。

毎年、新卒社員が入社して現在社員数は40名となった。工場見学に来て下さる方々も増え、その度に弊社の社員のモチベーションが上がっていく。自分たちの仕事に誇りを持ち、自信がついてきたことを実感している。それぞれがしっかりと目的を持ち、目を輝かせて自分のやってみたいことや夢や希望を語っている。
売り上げは5億を超えたが残業自体は減少している。納期遵守率も飛躍的に上がった。これはひとえに社員みんなの思いがうまくかみ合って、回っている証拠だ。互いに助け合い、思いやることで社員1人1人が本当に成長している。
5年前に掲げた47都道府県すべてにお客様を作る目標も去年達成し、その得意先回りに社員と共にあいさつに行き、ご当地の美味しいものを食べて回っている。
来年は自分の技術を生かしたオリジナル製品を携えて5年前に視察したドイツのハノーバーメッセへの出展を予定している。いよいよ世界から受注を始める前段階にきた。商社と共に戦略を立てている。この先を見据えて始めた英語も上達してきた。
今年の面談も終わり、今月の3S活動日に指針作成会議をして次の5年ビジョンを社員と共に作る予定だ。次はどんなことを実現してやろうかと社員と共にワクワクしている。 (※2018年作成 原文通り)


歯車

【進化の扉】
取材をしてようやく真の課題が見え、会員の人となりを知る。広報部員の冥利に尽きる役得かも。学びを深める扉を開けてみると、自身の課題とも重なっていく。

経営指針書の見本は周りを見渡せばいくらでもあります


結構時間と労力をかけて経営指針書を毎年作っていますが、これで完全と思えたことはありません。完全を求めて同友会仲間の方から指針書を見せてもらったりしてきました。10年ビジョンは10年先こんな会社になっていたい、なっているとの思いを込めてつくっていきます。これは10年目にいきなりこの姿になるのではなく、ビジョンを掲げたその日から一つひとつ叶えていくものなのだと改めて気づかされました。経営指針とは円周率のように永遠に割り切れないが、少しでも精度を上げていくことへの追求が指針書による経営になるのだとさらに気づかされました。2021年度大阪同友会は「すべての会員が経営指針に基づく企業経営の実践」を方針に掲げていますが、コロナ禍でなかなか指針セミナーができない現状です。しかし、周りを見渡すと必ず身近に手本となる指針経営をしている仲間がいます。たとえそれが1ページだけの指針書であっても必ずヒント、見本になる指針書だと思います。(情報化・広報部山田)



2021年度、新たに巻頭にはシリーズ「経営指針・実践中」を掲載いたします。会社の羅針盤ともいうべき経営指針は、それぞれの会社において何を根幹において作成され、どのように実践されているのか、経営者として最も興味があり、学ぶべきあり方を、取材を通じて皆様にご紹介いたします。

vol.1  クリエイティビティを発揮 1社依存の下請け体質からの脱却

あの人に聞く

(株)大西製作所 代表取締役 大西 隆裕
(大阪東ブロック/しろきた支部)

PROFILE
所在地:本社・工場/大阪市鶴見区横堤5丁目 / URL: https://www.ohnishi-mfg.co.jp
設立:1959年9月 / 資本金:4,600万円 / 年商:2億円(2020年度3月期)/ 社員数:20名
業務内容:産業機械(主に搬送装置)の受託開発・一式製作、金属部品(製缶・塗装を含む)製作、エキスパンドメタル製品加工

大阪市内、地下鉄の駅近くの立地で珍しいコンベヤを作る工場を見学しました。

地下鉄長堀鶴見緑地線の横堤駅から徒歩5分、鶴見緑地公園の近くに株式会社大西製作所があります。初めての訪問ということもあり早く到着、近くを少し散策しました。横堤駅から向かう道にはちょっとした散歩道があり、住みやすい地域であることもわかりました。会社の入口につくと、大きな敷地で広々とした空間が広がっていました。見たところ駐車場でもなさそうでした。のちほど話を聞いてわかったのですが、入口に広がる大きなスペースは長いコンベヤをバラして10トントラックに積み込み、出荷する際に必要な空間だったのです。ちょうど、訪問した時には出荷が終わったあとということもあり、ガラーンとしていたわけです。次回はその出荷の様子を見たいものです。さぞ、迫力があることでしょう。

そして、外から見たところ大きな敷地の割に音が少なく、もしかして本社では製作は行っておらず、第2工場が稼働しているのかと思うくらい静かでした。ところがあとで見学すると周りの住宅地に対する配慮で、できる限りうるさくならないように作業していることがわかりました。環境対応のために2004年環境認証(ISO14001、2020年よりEA21に切り替え)を取得し、全社的な環境教育に取り組んでいます。

事業はオリジナルのコンベヤの製品製作

創業時よりオーナー系子会社で、椿本チエインが4割強を出資しています。祖父が椿本チエインの近隣地にて創業しました。当時は住宅地もなくほとんどが蓮池畑のような土地で、農業が細々と営まれている地域でした。現在は旧第2 工場へ本社を移しています。
椿本チエインの本社は敷地の売却で北区へ、チエイン製造部門とコンベヤ部門はそれぞれの工場へと移転しました。売却地跡にはイオンモール鶴見緑地と公団マンションが立ち並んでいます。(株)大西製作所は引き続きこの地域で営業していて、市内で製品の試運転ができる数少ないコンベヤの会社となっています。

一貫生産の受注

建屋はA棟~C棟の3棟に分かれており、それぞれの建屋で役割分担していました。事業としては開発案件が多く、開発、設計から細かなパーツづくりや組み立て、塗装、製品仕上がりまで一貫受注のできる設備がありました。
製品仕上がりまで製作できる設備があることで、試運転が市内で可能なことから、クライアントの立ち合いに重宝されているのだと聞きました。プラントのコンベヤということもあり、組み立てると大きな製品となるのですが、いったん組み立てたあと試運転し、動作確認しなければ出荷ができません。そのため試運転で確認できたらある程度バラして出荷するという大変手間のかかる作業となりますが、仕上がり製品を作る工場としては当たり前だそうです。

入社のきっかけ

大西氏は大学の工学部を卒業後、会社勤めをしていました。今からちょうど20年前に2代目のお父さんから「独自製品を開発したい」という相談があり、(株)大西製作所に入社しました。
椿本チエインからの仕事は、チェーンコンベヤの特注品の設計と製作が中心です。2代目のお父さんまでは、1社依存体質の会社だったため、社風は指示通りに動き、余計な考えを持たないというのが当たり前でした。社長就任後の現在は、特注品以外の仕事を減らす方向ですすんでいます。売上は下がりますが、利益の追求を考えると苦渋の決断であったことと思います。

同友会入会

入会は2004年です。当時は入社4年目ということもあり、開発担当者として奔走していました。当時は受注型の経営方針だったこともあり、社の風土が言われたことを淡々とすすめる、余計なことを考えないといった感じだったそうです。リーマン・ショックでは新規受注が丸1年止まり、売上が3割減り経営が不安定な状況となってきました。そういったこともあり、独自技術をもって他社からも受注しなければいけないという思いが湧き起こります。これからの製造業はサービス業と同じ「クリエイト」に価値を見出さなければ生き残れないと確信しました。

社員と危機感の共有

椿本チエインの海外進出や生産コストの圧縮要請で、特注以外の商品に関しては、売上が上がっても利益が伸びない状態が続きます。今から思えば2001年に入社のきっかけとなった「独自製品の開発」は2代目の父にも危機感があっての相談だったのだと思い、当時のことを振り返りました。独自製品の開発なくして未来はないと考え、独自技術の特許を申請してきました。2011年より方向転換、受注型のスタイルから、独自技術を売り込むスタイルにする中、親族を含む元会長(当時社長)を支えるベテラン幹部社員が退職することになります。2008年リーマン・ショック後、2011年の東日本大震災も重なり、人件費を下げるためにお願いして引退してもらいました。
そして、2013年に指針セミナー受講。独自技術を糧に椿本チエイン以外からの受注を加速。しかし、簡単には指針が浸透しませんでした。2015年新工場操業開始、本格的に独自営業を始めました。このころから、個人面談を開始し新しい風土づくりが始まります。組織経営の変革の始まりでもありました。製造業は製品を作るだけでなく、新たな商品を作り出さなくてはいけない、一人ひとりがそれを考えられる従業員になってほしいという願いを伝えました。
 独自営業をすすめるなかで、大手の子会社ということもあり新たな販路の開拓はできたものの、だれもがやりたくないややこしい案件が集まり、売上が思うように上がらなかった経緯もありました。個人面談の際に独自商品の開発を伝え、販売に賛同が得られない場合、やむを得なく退職する社員もいました。退職の際、今後の働き口の紹介や、給料の保障などをするため、創業したての新工場をその時期に売却するという思い切った決断となりました。今、横でマンションが建とうとしています。

激動の代表が始動

2017年代表に就任し、このタイミングでしろきた初代支部長就任。幸先よく感じますが、この翌年大型台風で工場の屋根が吹っ飛ぶという災害にみまわれ、復旧に1年近くかかりました。2018年にベトナム人雇用を始めると、先に述べたように早期退職者を募りました。2019年に会長が退任。2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るった1年でした。激動の時代を受け継いできましたが、そんなことはみじんも感じさせずに同友会活動をしています。なぜ、そんな苦労を感じさせないのかをたずねると「大変なことを言っても仕方がない、大変だと考える余裕もなかった」と語りました。

先代の心遣い

おそらく、2代目のお父さんが就任の際に苦労をした経験から、3代目に無理なく引き継ぐために早い段階から徐々に仕事を任せてくれたと大西さんは言います。会長を2年間務め、対外的にも安定の経営体質を遂行しました。会長退任後の現在でも、相談役として新商品が開発できると見に来ているということでした。ものづくりに従事してきた者として、自社の新商品ができると子どもが生まれることのように喜んでいるそうです。

コロナ禍での営業活動

通常であれば自社商品をセールスに、紹介などを伝って訪問も可能かと思うのですが、コロナ禍で簡単ではありません。そのためテレアポの業者と契約し、自社のセールスをすすめています。もちろん確率は低いですが、何もしないわけにもいかないので、少ない数でも興味を持った企業に対してセールス活動を続けています。

今後の展開

指針書にビジョンが掲げられています。公開はできませんが、他社の新製品を開発していました。モノを動かす(運ぶ)ための技術が得意なので、その動きを上下させる設備の開発も手掛けています。これからも独自商品の開発、設計を追求して、他社との差別化を図っていくことでしょう。今後、技術開発者がますます必要になります。現在は開発案件の多数を代表である大西氏が補っていますが「その事業を担える人材を育てていきたい」と話を締めくくりました。

(株)大西製作所 「第62期経営指針書」より

 経営理念

我々は、ものづくり集団として技術・技能の進歩へ貢献することで社会における永続した安心を提供する

 経営理念の解説

当社がメーカーとして保持する、ものづくりに関する固有の技術やノウハウを発展させて製品に反映させるとともに、新たな技術開発による製品づくりへの取り組みを進めます。そして当社の製品が高い品質と性能を伴って客先に設備として供給されることにより、信頼と安心が保証され、その先にある人々の社会生活基盤の安定につながり、社会へ安心の提供がなされます。また、そのような目的意識を会社内にて集団として共有することにより、それぞれが高い志を持ってさらなる成長へとつなげていきます。
(代表、大西 隆裕 発信)

 大西製作所ビジョン2030(一部抜粋による)

将来展望・新たな柱を作り続けられるような体制作り
    ・顧客の業績拡大に繋がるお役立ちの仕事を受ける
    ・今ある仕事が常に変わり続ける
    ・特定の個人に頼らない組織運営
    ・社員一人ひとりの人生の充実

10年後にありたい姿
    ・売上5億円、社員30名(20%は女性社員、10%は海外出身)
    ・海外への自社製品輸出
    ・営業および製品サポートのための支店開設

大西製作所の2030ビジョンの組み立ては、技術力、設備力、生産力をもって製作する装置や部品をいかに顧客ニーズと合致させるかに焦点を合わせています。上記経営理念とその解説を受けて、コロナ禍における不透明な経済の中、新たな体制づくりを固めるため全社員に向け発信されたビジョンの骨子をご紹介しました。未来への取り組みが、営業、人事労務に分けて具体的で、明確に記され分かりやすいです。この他中期計画も作成されていますが、誌面が狭いためご紹介できないのを残念に思います。 (編集 西岡)

【進化の扉】
取材をしてようやく真の課題が見え、会員の人となりを知る。広報部員の冥利に尽きる役得かも。学びを深める扉を開けてみると、自身の課題とも重なっていく。

経営理念、常にその意味を問う


生産過程における元請け下請けの関係は商いの伝統ですが、そこには必ず上下関係が発生します。利害関係はやはり元請けが有利かというと、大半はそうですが、中には付加価値のある無二の製品を製造する技術にたけていることで、下請けが元請けを上回る存在になることもあり、それが期待されます。売り手・買い手・使い手と三方よしの関係は理想に過ぎないのか、それとも成し得ることなのかを問う取材でした。(株)大西製作所は大手の製品製作の下請け企業として関係会社から資本参加を受け入れました。しかし長い年月の間には独自で利益を確保できる関係ではなくなってきたと言います。下請けからの脱却、独自の製品の開発、エンドユーザーへ手が届く最終完成品の創作を試み、取り組んできた十数年でありました。体制を変え変革をするには、大きな犠牲が伴い苦しみにさいなまれます。しかしそこに再確認する経営理念があり常にその意味を問う、長いスパンで理想を掲げた2030ビジョンがあり、社員と共有し企業変革を実践していく、そんな姿を見せていただきました。
(情報化・広報部 西岡)

PAGE TOP