特集 経営本部


〜 よい会社をめざす『 社員教育 』〜
巻頭特集「2018輝く会員企業・企業づくりのあゆみ」では、大阪同友会が会員と共に取り組む同友会理念の実践と、運動の普及を分かりやすく解説します。前半部では個々の会員が抱える経営課題にどのように向き合っているかを取材し、会社を発展させてきた輝く会員企業を紹介します。後半部では課題に対する大阪同友会としての取り組み、フォローメニューを紹介します。また続く「士業の目」では士業会員が

専門家ならではの視点で解説します。

社員が喜ぶことを一番に考える毎日から
川田紙工株式会社 代表取締役 川田 昭宏(大阪北ブロック・北第三支部)


にぎやかなオフィス街のなかに、川田紙工株式会社があります。70年間この場所で大阪の移り変わりをずっと見続けてきた歴史ある本社ビルの4階会議室で、社員教育についての話を川田さんにうかがいました。

ちゃんとした会社にしていきたい
「めちゃくちゃな町工場やん」と、川田さんは川田紙工に入社したとき、今まで仕事をしていた会社との違いに驚いたそうです。入社以前には大手印刷会社で5年間仕事をしていました。そのころの川田紙工は、社内で会議はされていないし、飲み会などのコミュニケーションも何もない、会社組織じゃないと思って驚き戸惑ったそうです。「ちゃんと仕事ができるような会社にしたい」と、川田さんは勤めてきた大手の会社で経験したような組織の会社にしたいと考えます。
入社して営業として実績を残してきた川田さんは、父親が癌で余命宣告されたのを転機に経営者へと進むことになります。そこで、今まで経理から渡されていた給与を自ら社員に直接手渡しで行う、ボーナスに「ありがとうメモ」を入れるなど、これまでとは違うことを行っていきます。まずは自分自身の姿勢を正していくことから社内改革をすすめていきました。

人が辞めない会社にするには
「年間にこれだけの履歴書の数の人が辞めるんですよ」と、右手の指で10センチくらいの厚みを作って話してくれました。そのころの川田紙工は人が定着せず、辞めたらハローワークで求人するというような状態だったそうです。「どうしたら人が辞めない会社になるんだろう」と、川田さんはそればかり考えていたそうです。そんな中、同友会で新卒採用をすれば会社が変わるよとすすめられました。こんな会社に新卒なんて、どうせやっても失敗すると考えていました。しかし、失敗するなら早いうちに挑戦だけでもしてみようかと、新卒採用をはじめます。初年度に2名、翌年2名、3名…と、続いていきます。すると新卒生が入社して社内に新しい空気が生まれ、社内の雰囲気が好転してきました。新卒採用だけの効果ではないのでしょうが失敗するどころか辞めていく人の数もみるみる減っていくのです。採用する際には、部門長面談、筆記試験、適性試験などと3次面接まで時間をかけて会社に合う人を丁寧に探しています。今では採用は新卒しか考えられないというほどにまでなっています。「新卒採用が増えたら確実に会社は変わりますよ」と、川田さんは力強く語ります。新卒採用をはじめて会社の雰囲気が変わっていく様子を経験したその言葉には説得力がありました。その証拠に、ここ2年で会社を辞めた人の数はゼロだそうです。

社員が喜ぶことを考えている
 「私は社員が喜ぶことを常に考えている」と、川田さんは話を続けます。「本当は顧客を一番に考えなくてはいけないのでしょうが、私は社員が喜ぶことを一番に考えています。そう考えることで、結果的には社員が顧客を喜ばせてくれる、だから会社として、顧客を喜ばせることができている」と熱く説明します。「社員が自由に活動を行っています」と、社内の委員会活動についての話もうかがいました。カレンダー作成委員会、広報誌作成委員会、レクリエーション委員会の3委員会が社内にあります。現場ではいいモノを作っているのだから、もっと外にアピールしたいという社員の意見を聞いて、オリジナルカレンダーの作成をはじめたのが委員会活動のきっかけだったそうです。仕事によっては作業する場所が建物の2階と3階というように違って顔を合わすこともなく、社員間のコミュニケーションが取れずにギスギスしてしまう、それを解消するために、そして全社的なコミュニケーションを図るために委員会が生まれることになりました。
社員は必ずどれかの委員会に所属しないといけないのですが、好きな委員会活動を選ぶことができるそうです。人気のカレンダー作成委員会では、カレンダーの企画制作やイベントでの販売などを行うことで、いっそう社員のモチベーションが向上してきているようです。

「この先が不安ですから、みんな辞めちゃいますよ」と、むかし言っていた社員。今では「辞めませんよ、今、めっちゃ楽しいですから」と、言われるまで社員の気持ちは変わってきていると川田さんが嬉しそうに話してくれました。

1枚の絵
会議室に1枚の大きな樹の描かれた興味深い絵が飾られています。10年前から作り出した経営指針書。その経営指針書の内容が、言葉ではなく可愛いイラストで描かれています。絵にすることで、この先の川田紙工が直感的に入ってきます。しかもその絵には川田紙工のビジョンが、ものすごく楽しそうに描かれているのです。絵を描いたという女子社員に、たまたまお話をうかがうことができたので、少し絵について聞いていました。その時、それをみていた川田さんがすごくやさしく微笑んでいました。この会社の強さを少しですが理解できた気がしました。
ありがとうメモや経営指針書、新入社員研修など、同友会で学んだことを素直に取り入れて実践していくこと。新卒採用や委員会活動など、きっかけはちょっとしたことかもしれませんが、すぐに動く行動力、そしてそれを地道に続けていく継続力。そして何より、社員を思う社長の熱い気持ちが社員教育や社風に大切なことだと感じました。
今度見るときには、あの絵の中の樹が一回り大きくなっているんだろうなあ……。
(取材:大西、大山、西岡、文:藤本、写真:田村)
Profile
企業名:川田紙工株式会社
所在地:大阪市中央区鎗屋町2丁目
創  業:1948年2月
資 本 金:1,000万円
年  商:2億6千万円
社 員 数:25名
業務内容:紙器・紙製品の企画・製造・販売、パッケージ、POP、その他各種印刷物

ページトップ ▲











〒540-0011
大阪府大阪市中央区農人橋
2丁目-1-30 谷町八木ビル 4F
TEL:06-6944-1251
FAX:06-6941-8352