コラム・あの人に聞く


〜 強靱な企業づくりをすすめる会員の取り組み 〜
月刊誌特集 I では、会内外で活躍する会員を毎回紹介します。会員の経営する企業の取り組みや、経営者である会員自身の企業経営に対しての考え方などを知ってもらうことで、同友会が目指す企業像、経営者像、そして中小企業と社会との関わりへの理解を深めてもらえることを期待しています。第8回は、大阪同友会 副代表理事の藤本英治氏です。
塾のひと部屋で
 藤本氏は平成14年に三代目として代表取締役に就任しました。株式会社フジモトの前身である藤本商店は文房具の販売をおこなう会社として昭和40年に創業しました。藤本氏は学生のころ、文房具店の2階で近所の中学生に勉強を教えていました。勉強することが楽しくなるという独特の指導方法で近所の中学生の約三分の一が来るという人気となり、実兄と本格的に塾をやることとなりました。しかしその後、藤本氏は大学を卒業して就職をします。そして数年後に戻り株式会社フジモトを継ぐことになります。
 現在の株式会社フジモトは文房具販売とは全く違う、独自製品をもつ内装工事業です。藤本氏に現在の業種にいたる変遷と自社の進むべき姿を、現在も実兄がされているあのころの塾のひと部屋でお聞きしました。

はじまりは町の文房具店
 株式会社フジモトは、藤本氏の父親が昭和40年の高度成長期に文房具店を開いたことにはじまります。当時は子どもも多く、また学校も近く業績も右肩上がりでした。その後二代目の社長となる叔父が入社、藤本氏は父親が退社した昭和62年に入社をします。
 平成に入りバブル景気が過ぎ日本は不況の時代へと進んでいきます。順調だった経営も暗い影を見せ始めました。そんな平成5年に藤本氏は同友会に入会します。

そして文房具店は変わっていく
 安いものが正義とばかりに価格破壊、低価格が世の中を襲い始めます。格安量販店、百円均一店などが一般顧客を根こそぎ奪っていきました。町の文房具店は大きな打撃を受けました。会社の生き残りをかけて株式会社フジモトは得意先を一般顧客から法人向けへとシフトしていきます。ここから町の文房具店の変化がはじまるのでした。それもつかの間、法人向けのカタログ通信販売が急速に浸透して、低価格、高サービスのさらなる波が業界を襲ってきました。得意先を法人向けにシフトして打撃を受けた株式会社フジモトは、次に事務機器の取り扱いを始めていきます。さらに得意先も官公庁にまで広げていきます。それもすぐ、急速に広がるインターネット販売におされてきびしくなっていきます。時代の変化はとまりません。そんな時でした。それまでも行っていたパーテーションなどの間仕切りの販売を、親戚の設計事務所のすすめで内装工事の請負としてはじめていきます。設計事務所を通じてゼネコンが得意先になりました。事業はマンション、福祉施設、学校などに拡大していきます。
 これでしばらくは会社も安定していくかと思えました。しかし大手メーカーが直接販売をしだしたのです。価格競争はますます激しくなり利益率が悪化していきます。そこで自社商品の開発に取り組みます。苦心の末、医療施設や福祉施設向けのハンガードアを開発。実用新案も取得しました。ここが現時点の株式会社フジモトだと、藤本氏は語ります。

なぜ変わらなければならなかったのか
 今では文房具店を町中で見かけなくなりました。株式会社フジモトも変化をしていなければ、町から消えてしまっていたかもしれません。外部環境の変化に対応するために、その中で会社を存続させていくために株式会社フジモトは変わる必要があり、そのために柔軟な対応ができるよう会社の体制を整えていきました。同友会で学んだネットワークや情報で外部環境をよみ、ビジョンをつくり指針経営をしていきました。その先に必ず目指さなければならないものは「自立的で質の高い企業」。藤本氏は他社とどう差別化を図ってゆくのかを考え、独自商品の開発にたどり着いたそうです。しかし、生産技術も生産工場ももたない藤本氏、それを助けたのがやはりネットワーク(企業間連携)だったそうです。扉本体と枠材を別々の企業に依頼し、差別化商品の開発まで気が付けば2年の歳月を費やしていました。
 そしてなにより経営者としてあきらめない気持ちを持つことが、この変遷に生かされている、そして、株式会社フジモトが現在存続するのは同友会のおかげだと思うとまで藤本氏は語ります。そして今なお、数年先のビジョンを見据えて変化をしています。

この先のNPO立ち上げにワクワク
 藤本氏はNPOを立ち上げようとされています。現在は病院、福祉施設、学校などと直接取引をしていますが、NPOを介すことで得意先に物を買ってもらうだけでなくサービスなどを提供できるようにしようと考えられています。この仕組みを作ることにより社員にも仕事をする意味、地域貢献を見えるようにしていきたいと実現間近のNPOの話をワクワクしながら語ってくれました。
 さらにその次の展開までこっそりと語ってくれました。「最近は子どもも減り塾も縮小している。塾の空いた部屋で新しいことをしたい。まだ秘密やで、保育所もしようと思ってるねん」
 町の文房具店、いや、株式会社フジモトの進化はとまりません。

〜 取材を終えて 〜
 小学校の頃に使っていた小さな机に座りながら、昔をなつかしく思い出しました。あれから今まで自分も時代もとても変わりましたね。ものすごい速さで時代を駆け抜けていく藤本氏。外部環境の変化は大変な速さで進んでいます。だから変わる速さも大事なんですね。同友会の会員企業にはいろいろな方がおられ、素晴らしいことをされています。今回の取材で思いました。同友会ではまだまだ勉強できることがたくさんありそうだと。
(情報化・広報部 大西・荒田 文:藤本 写真:木許)
Profile
企業名: 株式会社フジモト
所在地:大阪市東住吉区住道矢田
創業/設立:1965年/1989年9月
資 本 金:2,000万円
年  商:2億円 
社 員 数:5名(パート1名)
業務内容:事務機器販売び内装工事業
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